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フレームの中にあるもの

デザイナー、サム・ヘクトとキム・コリンが、ありふれたワイヤー製のバスケットについての考察から、新しいワイヤーフレームソファグループをデザインするまでのインスピレーションをご案内します。

私たちが金属バスケットに興味を惹きつけられたのは、それがとても少ない質量で構造を作ることができる点にありました。金属のワイヤーを使うと、最小限のラインだけで形を作ることができます。

おそらく、スーパーマーケットが発明されてからというもの、食料品を入れる買い物かごの形がほとんど変わっていないのもそれが理由でしょう。軽くて持ち歩きやすい一方で、さまざまな形や重さのものをしっかりと支える堅牢さがあるのです。バスケットと中に入れるものの関係性にも興味を惹かれます。ものでいっぱいになると、金属のワイヤーは消えてしまうように感じられます。どの面から見ても、中に入っているものが全部見えるのです。 

What's in a Frame?
What's in a Frame?

この構造についての考え方をファニチャーに適用すると、イームズ夫妻やベルトイアの有名なワイヤー製チェアは、ワイヤーという無駄のない素材から成るフレームが、人の身体を支える堅牢で優雅な「入れもの」を形作っているという、シンプルな事実に気づきます。ベルトイアは自らデザインしたチェアについてこう言っています。「彫刻のように、ほとんどが空気でできています。空間がワイヤーの目の間を通り抜けることができるのです」。これらのデザインが今日でも古くならないのは、スーパーマーケットの買い物かごのように、持ち運びやすく、柔軟性に富むからだと私たちは考えています。

What's in a Frame?
What's in a Frame?
What's in a Frame?

ワイヤーフレームソファグループもこの特性によるものですが、ワイヤー以外の素材の特性も加わっています。ワイヤーフレームソファのバスケットには、慎重に成形したクッションが収まっています。クッションは動かせて、かつ安定性があります。それぞれのクッションは、身体の形と座る姿勢に合わせた形に作られています。座面のクッションは固めですが座ったときにお尻の当たる部分は柔らかく、背もたれのクッションは低めで頭の動きを自由にし、アームのクッションは腕と頭の両方をサポートできる柔軟性があります。クッションは快適さを最重要課題とし、さまざまに異なる密度の発泡素材の層を重ねて作られています。

フレームとは反対に、クッションは視覚的にも柔らかさを強調します。これは重要なことです。なぜなら、デザインと快適さは体感だけではなく視覚によっても左右されるからです。実際に触ってみる前に、柔らかなクッションからはくつろいだ心地よさの信号が脳に送られるのです。硬さ、効率性、実用性のシグナルを送るワイヤーのフレームとは、正反対の感覚です。このソファは、柔らかなクッションを入れたバスケットです。

What's in a Frame?
What's in a Frame?
What's in a Frame?

クッションとワイヤーというカジュアルで実用的な組み合わせは、現代の生活条件に合ったものです。家庭でもオフィスでも、ファニチャーにはますます多彩な働き方が求められています。例えばソファですが、プロジェクターを使って映画を見ようというときに向きを簡単に変えられなかったり、他の部屋に動かせなかったり、標準サイズのドアを簡単に通すことができないと、本気で驚いてしまいます。簡単にクリーニングができないものや、クッションを取り替えたりカバーをかけ直したりできないものにもがっかりしてしまいます。製造業者が考えるレベル、あるいは消費者が要求するレベルをはるかに超えた条件をクリアすることを、ハーマンミラーの期待値としなければなりません。それは私たちのデザイナーとしての役割の一部です。

今日の暮らしは、インフォーマルとフォーマルの間のバランスに、そして一時性と永続性の間のバランスに基いているように見えます。これは、ごくありふれたワイヤー製のバスケットに良く似ているではありませんか。 

What's in a Frame?
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